いつかきっとがもう間近

現のこと、夢のこと、

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図書好きがポーズだった頃

家にあった本箱には、昭和初期の詩集や仮名遣いが「い」が「ひ」になっていたり、「え」が「ゑ」になっていたりした書物しかありませんでした。

 

だから元々は、本が好きだったわけではありません。家の本箱が好きだったのです。それは木製で、縦横高さを合わせても1mそこそこしかない小さなものでした。そして階段を上がりきったスペースに、なんとか置ける大きさでした。

 

その本箱には、両開きの扉がついていました。扉の木枠には、レース模様に細工をされたガラスが嵌められていました。私は暇があると、その本箱の前に座り込み、何度も手に取っては読めない書物を開いては閉じていました。

 

家庭の経済能力以前の問題でした。本は買ってもらうものではないと、思っていました。「本を買って」とねだったことは、一度もありません。もちろんケチなお母さんが買ってくれる訳もありません。本は、学校で借りて読むものだと思っていました。

 

その頃、初めて友達らしき女の子ができて、1年足らずで女の子がお父さんの都合で引っ越すという事件がありました。お別れの前の日、何故かケチなお母さんがデパートの本屋に私を連れて行き、「女の子に渡しなさい」と『龍の子太郎』の本を2冊買ってくれました。私用と女の子用です。

 

そのとき、思ったのです。「あれ、お母さん、いいカッコしてる」と。まさにそれが、本をギフトとして贈る初めての経験でした。

 

松谷みよ子さんの『龍の子太郎』の物語、お母さんと子ども太郎の物語です。このストーリーはあまりに有名です。こっそりと、もしやお母さんは贈る本を間違えたのではないか、と今でも密かに思っています。

 

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