本を買う気もないのに、本屋でうろうろしていたら
新聞広告で見た『君の膵臓をたべたい』があった。
ツレが「あ、これ、読んでみたかったんだ」と言ったので
「ああ、それ、広告でみて私も読んでもいいかなって思ってたから」と買った。
一人称、「僕」の主観から成り立つストーリーで
本好きで他人と自分に溝を作っている「僕」が、
1年未満で膵臓の病気で死ぬ秘密をもった「彼女」と知り合って
他人とのつながりを心地よいものだと認めていく青春物語。
昔、プリニエの『醜女の日記』を読んだ。
これも一人称、「私」の主観から成り立つストーリーで、私の好きな本だ。
一人称の小説を読むと、必ず思う。
騙されるな、これは僕や私の主観に過ぎない、
きっと顛末は第三者的に逆転されるぞ、と思いながら読んでいた。
やっぱりね、のストーリーだったけど、スラスラ一気読みできる
引っ掛かりのないきれいな文章だった。
少し年代的に気に障る面倒くさい言葉も羅列してあったが
一人称だけで、物語を作るのは大変な力量だと思う。
「彼女の親友、恭子」の性格がわかりにくかったが、
それはきっと、一人称的にわかりにくい性格の人がいるって実体験で知っているので
「僕」にとってもそうだったんだろうな、と想像した。
この『君の膵臓をたべたい』というタイトルが人目をひいて
猟奇的なストーリーかと思わせるが
沸点の低い恋愛小説だった。
血圧が低すぎる私にとっては、このくらいがちょうどいい。