登場人物は、主に四人でした。お兄ちゃんが中学生の時、引きこもりになってから「家族はずっと大変だったんだよ」という弟。二人の息子を持つ病にかかった母。会社の借金や家のローンで首がまわらず、妻の入院費用の工面もできず長男に寄生する父。自分が家族の支えになろうと奮闘する長男。そう、主人公は長男です。
煩わしさの下には幸福が隠れていることを誰しも本当はわかっているのです。面倒くさい家族の歴史、小っ恥ずかしい黒歴史、思春期、反抗期など、すべてを家族で歩んできたからこそわかるのでしょう。それを掘り起こせる人たちは、幸せです。
家族の間ならば、とても地味な上に阿吽の呼吸でわかることを、言葉を媒介にして他人に伝えることは難解なことです。けれど、その耐え難いほど難解なことを歯を食いしばって伝えた人だけが、新しい幸福な家族を手に入れるのでしょう。
そんなことを感じた映画でした。