これはとても素敵な映画でした。主人公は小説家を夢見る売れっ子脚本家のナイスガイ、ギル。婚約者の父親がパリに経営進出するのに便乗して、アメリカからパリの高級ホテルに滞在している時に起こった不思議な出来事の話です。
ギルはまだ遊び足りない婚約者に「迷うわよ」と忠告されながらも、一人でホテルまで歩いて戻ろうとしていました。案の定、途中で道に迷って石畳の階段に腰掛けていると、1台の高級クラシックカーが通りかかります。中から陽気な酔っ払い達がギルに向かって、一緒に飲まないかと誘います。彼は人違いだと初めは断りましたが、気さくで楽しげな雰囲気にのまれてクラシックカーに乗り込みます。
あれは、モンマルトルの石畳の階段なのでしょうか。真夜中の鐘が聞こえたら、夜ごとクラシックカーが通りの曲がり角から現れて、ギルは2010年パリから1920年パリにタイムスリップしてしまいます。ギルはフィッツジェラルド夫妻やヘミングウェイ、ダリ、そしてスタイン女史のサロンでピカソとも出会い、その愛人アドリアナに魅了されていきますが……。
この映画は、観光旅行した気分にさせてくれます。セーヌ川を中心に凱旋門、ルーブル美術館、シャンゼリゼ通り、エッフェル塔、ノートルダム大聖堂、ムーランルージュなど、ギルではないけれどパリに住みたいなぁと憧れます。
この映画のメインテーマは懐古趣味讃歌ではなく、いつの時代も過去の時代は黄金時代に見えるものだよ、今現在を頑張って生き抜こうではないか、というものだと思いました。何年かして、また観たい映画です。