いつかきっとがもう間近

ありのままの生活と夢の中

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眺望のよいイタリアンレストラン

お正月に「美味しいものを食べに行こうね」と言っていたのに、予定が合わずにズルズルと1月が終わりかけていたので、ようやく意を決して前から興味のあったイタリアンレストランに予約を入れたあと、半強制的に予定を合わせてもらって食べに行った。

 

夜ご飯だ。ディナーともいう。公共交通機関で行こうか、タクシーで行こうか、それとも行きは車で帰りは代行運転を頼もうかと、初めからアルコールを飲むことを前提で考えあぐねていたが、「いいよ、帰りはアタシが運転するから」と声を上げてもらい解決した。

 

西に向かうバイパスを降りてから北に車で5分、結婚式場の教会が薄闇に荘厳と浮き上がって現れてきた。ゆるいカーブの上り坂を直進すると、カーナビの目的地付近に、山の斜面に反り出たような平面的な建物があった。その四角い建物は南南東側が一面のガラスになっており、雅やかな照明の中にチラホラと人影を認めることができた。

 

有機物を感じさせない駐車場からイタリアンレストランに入ると、中庭があった。スペイン語でいうパティオだが、イタリアではコルティーレというらしい。中庭に面した木枠のガラス窓から、ピッツア職人が生地を成形して具材を盛り付けしているのを見ることができた。

 

通された席からは遠くはまだ海が見え、近くはポツポツと灯りだした街の灯りが、雑多な市街の風景にさえ格調を設えているように思えた。「ゆっくりお選びくださいね」とメニューを渡されて考えている間に、レモン汁の入った水が運ばれたり、テーブルに人数分より多くセットされていたお皿やカトラリーを下げられたりした。

 

きれいに真ん中を避けて左右に並んだフォークとナイフを見て、息子が修学旅行に行った時のことを思い出した。その修学旅行の何日目かに、「正しいフランス料理の食べ方を学ぼう」という含羞を隠しきれないテーマが盛り込んであった。

 

息子からはその時の話を聞くことはなかったが、スナップ写真を見るからに「嬉し恥ずかしさ」が垣間見えた。いつか、息子が大人になって回想語りをしてくれる時がくれば、聞かせてもらおうと思う。

 

注文は三者三様違うパスタやピッツアを頼み、フルコース仕立てにしてもらった。メニューの名前がカタカナ混じりで長すぎたので、「10番で!」「27番を」など恥ずかしげもなく申し上げた。大人になるって、こういうことだ。何事も無理をせず、背伸びをしないで自然体で過ごせるってこと。

 

にこやかな女性給仕さんは「はい、蟹のなんたらかんたらですね」と無知な中年にも丁寧に応対してくれた。ズラリと並んだワインの名前に戸惑っていると、「アルコールのメニュー表はまだご覧になられますか」と空いたテーブルの隅に残してくれた。

 

まずは「グラスビールとジンジャーエールで乾杯」して、カルパッチョやらフリットやらの前菜2品から始まった。ロースト肉やガーリックトーストを食べ終わる頃、グラスビールやワインを3杯飲み干していたせいもあってお腹がいっぱいになり、メインのパスタやピッツァは食べきれないかもしれないと弱気になった。

 

でも「美味しいものって、際限なく食べられる気がする」と話しながら、3種類のメイン料理を取り分けながらいただいた。特にピッツァの生地が素晴らしく美味しかった。また、トマトソースベースのパスタやクリームソースのパスタの味も申し分がないほど美味しかった。美味しいとしか、語彙が見当たらないのだ。もちろん、語彙力が乏しいせいもあるが。

 

その後、コーヒーとドルチェの「なんたらかんたら」をいただいた。とても名前が覚えられないが、家の食器棚にある皿の中で一番大きな平皿と同じくらいの大きさの皿を惜しげもなく「たかがデザート」に使うという感覚が高級なドルチェだった。

 

もちろん、「されどデザート」で目で楽しみ舌で味わえる満足のいく一品だった。コーヒーも苦すぎず、後味よくスッキリ飲める美味しいコーヒーだった。「美味しかったね、また来ようね」と約束して「ごちそうさま」と手を合わせた。

 

席を立つ前にガラスの外に目を移すと、市街地も海も暗闇に包まれていて境がわからなくなっていたが、市街の中に1等星の星が無数に散りばめられているように見えた。なんてロマンチックな眺めだろう、こんな場所でプロポーズされたら断りづらいだろうなと思いながら、来た時よりもカップルの多くなった店内を横切って会計をした。

 

会計は3人で1万4千円代だった。払った実感として、とてもリーズナブルな価格設定だと思う。アルコール代を除けば、一人3500円平均だ。本格的なフルコースを食べた感100%でこの値段ならば、プロポーズして断られても許せる範囲かなと妄想を楽しんだ。

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