今週のお題「ゲン担ぎ」
ゲン担ぎの「ゲン」は「霊験あらたか」の「験」ですが、意味としては「縁起」「前兆」のことです。江戸時代に逆さま言葉が流行っており、「えんぎ」⇒「ぎえん」⇒「ぎぇん」⇒「げん」に変化したといわれています。
そういえば祖父はよく「ゲンが悪くなる」と言って不機嫌になっていたことがあります。それは祖母に「遊んでばかりいないで、家の用事を少しは手伝ってくださいよ」とたしなめられたり愚痴られたりしたときです。きっと、祖母のもっともな言い分にグウの音も出ないで、むしゃくしゃして誰かと喧嘩したことと結びつけていたのでしょう。
ゲンを担ぐというのは、日常的な、どこにでも転がっているような話です。それは十人十色で、人は無くて七癖というのと同じくらい、誰もがしていることです。ちなみに私は、罰当たりかもしれませんが、神社のおみくじをひくことはゲン担ぎです。因果関係を信じるほど信心深くないのが悲しい限りです。
ゲン担ぎは、「霊験あらたかな不可思議な不可抗力が自分の願う方に動いてくださいますように。アーメン!」よりも、矮小でコケテッシュな個人的な心理状態の中で、近い未来の吉凶を左右される気分になる些細な行為をしたりされたりすることだといえるでしょう。
げん【験】
1 仏道修行を積んだしるし。特に修験者の行う加持祈祷(かじきとう)のききめ。
2 ある事を行ったことによるききめ。効果。
「こんな姑息手段で断えず額を冷やして見たが、一向はかばかしい―もないので」〈漱石・門〉
3 縁起。前兆。「験 が悪い」「験 をかつぐ」
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げん‐かつぎ【験担ぎ】ちょっとした物事に対して、よい前兆だとか悪い前兆であるとかを気にすること。験を担ぐこと。「
験担ぎ で豚カツを食べる」