月に何度か、楽しみを設けることにしています。何の予定も楽しみもないと、笑顔の乏しい無表情で怠惰な顔になりかねないからです。そうそう、人好きのする明るい性格のお人でも歳をとると、一瞬の無表情が永遠に他人の脳裏に刻まれるものです。
「あのひと、怒っているの?」いえ、晩ご飯のオカズを何にするか考えていただけです。「あのひと、こわい!」いえいえ、夫の小遣いを銀行から降ろし忘れたと焦っているだけです。年齢を経ると、筋肉が負けるのです。万有引力の法則以上に、口角が下がるのが原因かも知れません。
だから旅行を計画しているわけではないのですが、今、手軽な温泉旅行を計画しています。温泉に入って、美味しいものを食べて、翌日は観光します。昼ご飯は、その土地ならでは場所と味に執拗に凝ります。帰宅時間は遅くとも、夜の8時です。
帰宅時間厳守の理由は、その後が忙しいからです。お腹をすかせて待っている人と動物にお土産代わりのご飯を提供して、洗濯ものを干したり畳んだりしながら、テレビも観なければなりません。
そんな忙しい目にあうのですが、やはり旅行を計画するのは楽しいです。よく知らない土地を貪欲に調べて、貪欲に楽しもうと思います。
はい、貪欲という言葉は、欲望を貪り尽くすという下品でハシタナイ意味ですが、これくらいの刺激的な言葉を使わないと、歳をとると脳が錆びれてしまうのです。ギシギシと軋む音がするのは、古い板張りの床が腐りかけているせいではなく、旅行を考えているせいかも知れません。