いつかきっとがもう間近

ありのままの生活と夢の中

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赤と白のスイカネット

お題「スイカ」

夏が来ると思い出すのは、赤と白のスイカネットを左手に下げ、右肘に買物カゴをぶら下げて日傘をさして、ゆったりと歩いている母親の姿です。

 

ボーッとしているせいなのか、すぐに迷子にはなるし、「どうして?」「どうして?」としつこく見上げていた私は、買い物に連れて行ってもらえない時がありました。ガラス戸の下半分はすりガラスになっているので、そんな時はいつも背伸びをして、ガラス越しに母親の帰りを待っていました。

 

玄関に駆け寄ると、大きなスイカをビーチボールのように軽々と持ち上げて、「ほら、スイカ」と誇らしそうに見せてくれました。母親のその逞しさと頼もしさは、一人で留守番をさせられた不満や寂しさを一気に忘れさせてくれました。

 

夏になると、子ども達にスイカを食べさせるのが、その頃、私の家のステータスのようなものでした。春には春の、夏には夏の、秋には秋の、冬には冬の、何かが毅然とありました。今は、なにもありません。

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