いつかきっとがもう間近

ありのままの生活と夢の中

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奇な時間つぶし

目の前に、アクリル板なのかガラス板なのかわからないが、ドット柄の間仕切りがある横並びの席で、一人ボーッと時間つぶしをしていた。注文していたエビや野菜をサンドしたパンとアイスティーは、いつもよりゆっくりと食べたはずなのに、まったく時間は進まなかった。

 

持ってきていた小説は読み終わったし、携帯電話のネットニュースも眺め尽くしたばかりだった。時間は止まったままだ。どうしよう、こんなことなら、さっきコンビニの前を通った時、混み合っていても我慢して、雑誌でも買えばよかったと後悔した。

 

ふと、斜め前に視線を向けると、間仕切り越しに、通路をはさんだ向こうの席の男性が見えた。間仕切りは透明で、白いドットの集合体が下から上にかけて、大きなドットから小さなドットに変化しているものだった。大きなドットは、ほとんど向こう側は見えないが、上にいくに従って小さなドットの隙間から、向こう側がわずかだが、見えていた。

 

その男性は、本を片手にコーヒーを飲んでいた。その時間は、ゆったりと流れている気がした。彼も私と同じように、時間を潰しているのだろうか。年の頃は60代前半、現役で働いているのか、それとも悠々自適に暮らしているのかどうかは、微妙な年頃だ。

 

しばらくして、男性の元に、女性がコーヒーを載せたトレイを持って席に着いた。ご婦人と待ち合わせだったのか。でも、少し異和感があった。何か、変だ。男性と女性のコーヒーカップが重なり合っていた。女性がコーヒーカップを握ると、男性の読んでいた本にぶつかった。

 

けれども、何事もなかったかのように、男性は本を読んでいた。女性も、静かにコーヒーを口に運んでいた。驚いて、目を凝らしてみて見ると、男性は色彩があるのに女性はグレー一色だった。

 

そこで、自分の勘違いに気がついた。女性は、間仕切りの白いドットに映った影だった。後ろを振り向くと、光が射し込む席で、その女性は一人でコーヒーを飲んでいた。女性に気を取られているうちに、男性はいつのまにか、席を立っていなくなっていた。

 

 --------------------追記・訂正編---------------------------

ドットの話。他の日に同じ場所に行ってみれば、大きなドットから小さなドットではなく、ドットの大きさは統一されていて、1面積あたりのドットの数が多いものから少ないものに変化している間仕切りでした。とんだ勘違いです。失礼しました。

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