いつかきっとがもう間近

ありのままの生活と夢の中

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『千年鈴虫』を読んで

途轍もなく暇な日、図書館の棚を端から端まで眺めみている間に手に取った本です。ほとんど眺めるだけで通り過ぎる本の数々の中から、谷村志保氏の『千年鈴虫』の背表紙の頭を中指1本で傾けてから抜き取った理由は、とても綺麗な朱色のカバーがかけられていたからです。

 

物語の内容は、紫式部の書いた『源氏物語』になぞらえて進んでいく未婚女性の心的性活でした。ストーリーの合間合間に、私の頭の中ではある俳優さんの顔が何度も浮かびました。

 

その俳優さんのお名前がどうしても思い出せなくて、小1時間、検索をかけまくっていました。「木村」というお名前だったような気がしていたのですが、検索にひっかからず「木村 功」さんにたどり着きましたが、似ているようでいて違います。

 

でも、それがヒントとなり、ようやく頭の中で結びついた俳優さんの写真をみつけたときは、喉のつっかえが取れたように嬉しかったです。山本學さんでした。そうそう、この方のぎょろりとした目つき、そして目尻が下がって優しそうな笑顔、肩を落として歩く姿、『千年鈴虫』の『先生』のまんまです。

 

でも、『先生』は上背があるらしいので、そこが惜しいところでした。全体的に、静かに物語が進んでいって、躍動感も生命力もページの底に押し込めたまま、感情だけが燃焼していくような小説でした。そこで思い出したのが、立原正秋氏の書いた小説です。

 

秘すれば花』『薪能』『辻が花』など、男女関係の構図以外、作風も共通点があるように思いました。男女関係の構図とは、男性側が高い品性と揺るぎない知性を持ち合わせていて、女性側はそんな男性に愛でられることで、自信がつくとともに情欲に溺れていくというものです。

 

『千年鈴虫』を読んで、久しぶりに源氏物語にもふれ、学生の頃、古典が大の苦手だったことも思い出しました。綺麗なカバーの色に魅せられて読んだ本で、人生観や結婚観など難しいことが散りばめられていましたが、読後、考えさせられるような重いメッセージはなく、あっさりと読み終えられたので良かったです。

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