なにげなく立ち寄った商店街を歩いていたら、風があちらこちらから吹いてきました。
微かに聞こえていた涼やかな風鈴の音が、一斉に鳴り響きはじめました。
カランコロンカランコロンと音と音が重なり合い、次第にそれは、その場に居合わせた人々の魂と魂を浮き上がらせるほどの力をもって、通り全体を包み込みました。
風の通り道なのでしょう。あちらからくる風、こちらからくる風、クルクル回る風、はね返る風、まるで風たちの奏でるシンフォニーを鑑賞しているようでした。
その風鈴は、砥部焼という陶器の風鈴でした。白地に青の彩色が施されているものが代表的です。夏のあいだ、風鈴が吊り下げられているそうです。
その場所は、四国、松山城にのぼるロープウェー乗り場から数分歩いた商店街です。いつか、別の食器がほしくなったときには、砥部焼を買いに行きたいと思います。