とても優しそうなおじさんでした。優しいおじさん、ではなく、優しそうなおじさんだと思う理由は、ほとんど話をしたことがなかったからです。
けれど、笑顔とおしゃべりが絶えないおばさんの隣りで、いつも、微笑んでいましたね。
とても細く、痩せこけた風貌のおじさんは、どこか頼りなさそうで儚げでした。でも、いつも穏やかに微笑んでいましたね。
急に容態が悪くなって入院された翌日、あっけなくお亡くなりになりました。苦しむ時間が短くてよかった、と心にもないことを息子さんは言われていました。
さびしくなりましたね。とても、さびしくなりましたね。だんだん、いなくなりますね。知っている人が少なくなりますね。
ご冥福をお祈りします。どうぞ、安らかにお眠りください。また、いつか、再会できたらと思います。