いつかきっとがもう間近

ありのままの生活と夢の中

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イモの天ぷら

今週のお題「いも」

「いも」といえば、頭に浮かぶものはサツマイモです。他にもジャガイモやサトイモ、いもけんぴ、いもねぇちゃんなどイモの種類は豊富ですが、「いも」といえば私の中では、サツマイモが筆頭なんです。

 

そう思うに至った所以をこのお題が出てから考えていました。それで思い出したことが一つだけあります。

 

昔、徳山市に住んでいたことがありました。現在はその名前はなく周南市となっています。その繁華街に、デパートが一つありました。白地にピンクのバラの花が描かれたきれいな包装紙が有名デパートでした。

 

年末になると、帰省土産や正月の準備品を買いに、母に連れられてデパートに行っていました。私のものを買ってもらえるわけではありません。子ども一人を家に置いて行けないという理由ただひとつだけで、長時間、母について歩いていました。

 

母の買い物が終わりデパートを出る頃になると、外はとても寒くなっていて、つないでいた母の手に、冷たい頬を寄せたりしていた記憶があります。その帰り道に、その天ぷら屋さんがありました。

 

ビルの1階の一角を間借りしているような印象の小さく狭いお店でした。パチンコ店の交換所のような窓から、従業員が天ぷらを売っていました。

 

その天ぷら屋さんの窓の下にあるガラス張りの陳列台から、大きなゆで卵や串に刺したうずら卵の天ぷらが見えました。

 

母はその中からいつも、イモとレンコンの天ぷらを買っていました。天ぷら屋さんから母に手渡された茶色い紙袋は、天ぷらの油が所々に染み出て色が変わっていました。

 

話好きな母ではないので、ほとんど何も喋らずに、片手で天ぷらの香りがする買い物袋やバッグ、もう一方で私の手をひいて、ゆっくり歩いて帰りました。そして家に帰るとすぐにお皿を出して、まだ仄かに温かい天ぷらを食べさせてくれました。

 

イモの天ぷらは、レンコンの天ぷらよりも格段に甘くて、美味しくて好きでした。イモはもちろんサツマイモです。この頃の記憶が「いも」といえば筆頭にサツマイモをあげる所以だと思います。

 

今になってわかることですが、街の天ぷら屋さんから家までの距離は結構長く、油で透けるような薄い紙袋に入った天ぷらが、真冬のさなか、仄かにも温かかったとは考えられません。

 

つないでいた母の手の温もりと、家に着いた安堵感、そしてサツマイモの甘さが相まって、仄かに温かみを感じていたのかも知れません。

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