トドか、セイウチか、はたまたゴマアザラシのような飼い犬が朝から寝ている。ドアの真ん前で眠っている。私が出かけるのを阻んでいるつもりらしい。時折、片眼を開けて出かけていないか、見張っている。
飼い犬に監理されている私は、なんだかなぁと思いながらも、外に行く用事をあきらめて、おとなしく飼い犬の寝息を聞いている。太い胴回りが、寝息と同時に静かに上下している。
私がいる、ただそれだけで安心してくれる生き物がそばにいるというのは、悪くはない。それが、飼い犬ではなく、人間だったなら、どんなにいいだろうなんてことは、考えないようにしている。これで、いいのだ。
でも、なんだかなぁ。朝から、寝るな!